Manablick

オーストリアのビオワイン農家に嫁いだ元ピアノ講師、高田マナのブログ

*

外国に住むという事

   

外国に約4年住んで色々思う事、最近悩んでる事

 

もうすぐ日本を出てから4年になる

という事もあって、海外に住んでみて色々思う事をつらつら書きたくなりました。

私の好きな本のひとつに村上春樹著の「遠い太鼓」があります。この本は村上春樹氏が30年程前にイタリアやギリシャに3年程住んだ経験を書いたエッセイです。彼と村上氏の小説も大好きですが、彼のエッセイは小説とはまた違う面白いエキスが沢山詰まっていて大好きです。さてこの本を読むと客観的にと言いましょうか、3年程外国に(外国に限らないと思うけれど)住むと最初のワクワク感が薄れて来て、その国(この本だったらイタリアの)嫌な所も目に付くようになるのだなと思いました。

実際私は3年程ドイツに住みました。始めの一年程は何もかもが目新しく、例え自分が少々不当ね目に遭おうとも、そんなの大した事ない位に新しい環境を少々興奮気味で楽しむ事が出来ていた様に思います。しかし3年経つと、ビザで苦しめられたからというのもあるのかもしれませんが、その国(ドイツ)にも嫌な所は勿論あるという当たり前の事が醒めた目で見れる様になりました。この世の中には桃源郷なんて無いので、どの国にだって当たり前なのだけれど欠点もあるし嫌な人もいるものなのだ、と当たり前すぎる様な事が改めて分かったような気がしました。憧れを強く持ってヨーロッパに来たので、住み始めた頃は本当に何もかも美しく見えて、なんかそれだけで幸せだったのでより醒めた自分に自分自身驚いたのかもしれません。勿論今でも綺麗な所は綺麗だなと感動もするけれど、もうちょっと醒めてる自分な気がします。何て言うか、日本にはこんな景色ない!とか、町並みとか自然と調和してて綺麗!と感動するというより、そりゃまあ日本と色々文化的に違うから比べても仕方ない、というか全然違うものだ、と最近思ってます。あの東京とかのごちゃごちゃした感じが急に懐かしくなったり…(笑)

何が大変って人間関係を一から作らなきゃいけない事

ドイツに来た一年目は兄夫婦と同居していました。初めての海外とは言え、彼ら経由で友人や知人が出来たり、なにしろ家族が居るというのは心強かったです。その後一人で知り合いの誰もいないブランデンブルグ州に移り、そこで働き始めました。始めは仕事に慣れるの精一杯で、この街に友人、知人が誰もいないという事が全く気になりませんでした。しかし仕事を始めた数カ月後のある夜、急に「私はこの街にルームメイト以外に気軽に話せる友人というような存在がいないのだな。」とその事実に愕然とした事がありました。ベルリンには兄達がいるし、日本には家族や友人がいるけれど、今私がこの街で何かあっても困る人も悲しむ人も居ないのだと思うと、何とも寂しい気持ちがしました。これが孤独というものなのね、と新鮮な気さえしました。それまで日本ではずっと実家暮らしでしたし、地元なのであちこちに知り合いがいたので本当の孤独をそれまで知らずに生きて来たのです。その後少しずつ友人が出来ましたが、孤独を知ってるおかげで日本に居る時には分からなかった友人の有り難さが身に染みて分かりました。

せっかくドイツに慣れて来たのに、また新しい地に来てしまった…

色々大変でしたが、知り合いや友人が少しずつ出来て住んでいる街がやっと「自分の街」という気がして来たのが昨年の事です。仕事にも慣れて来てはいましたが、何と言うか自分が上司やある一定の同僚から人間らしい扱い方をされてない気が日に日に強まって来てはいました。始めの頃はそんな事気付かなかったし、気付いても「ここで働かさせてもらってるんだから文句はない!」と思っていたのですが、その気持ちは始めの一年位しか続きませんでした。幸いにも職業学校の先生達は職場とは全く違い、とても親身になって優しくしてくれる先生方ばかりでした。今でも頻繁に連絡をくれます。

この先この職場では働けないと思い始めた頃に出会ったのが現在の夫です。夏に一週間だけ彼のワイン農家で職業体験をさせてもらったのですが、不思議な事に今はもうそこ(ここ)に住む事になりました。引っ越す前は色々冷静に考えて、オーストリアに仕事を辞めてすぐに行くべきという結論になり、あまり迷う事もなく(ちょっとは迷った気がするけど)ドイツからここにやって来ました。

これはドイツに住んでいた頃と同じ様な事をまた繰り返しているのですが(成長してないな自分..笑)ここに越して来た当初は仕事や周りの人達や夫との関係(ずっと遠距離で急に一緒に住んだので色々最初は大変だった)やらなんやらで頭がいっぱいで、’’ここに住む’’という事をゆっくり考えていなかったのですが、夏の(超)忙しかったホイリゲも終え、ちょっと時間の余裕が出て来たせいか、ここ最近まじまじとまたドイツに居る時と同じ様に ”ここに住む’’ という事を考えるようになりました。

ドイツに住んでいた時との大きな決定的な違いは「結婚した」という事です。ドイツにて一人で外国に住む大変さを嫌な程体験したので、パートナーが居るという心強さと有り難さを身に染みて感じています。その一方、結婚したからには恐らく私は一生か、かなり少なくても長い時間はここに定住するという確信があります。(勿論将来離婚しないとは言い切れないけれど。)一人身とは違う不自由さも一緒に手に入れました。自由と孤独は紙一重という事にも気付きました。

ここでどうやって生きて行こうかと日々考え悩んでいる

ドイツに居る時は最初の数カ月を除いては、ドイツの仕事場で働いていたので、社会に溶け込んでる自覚がありました。仕事はキツくて、上司には年中怒られるし…などと大変な事満載でしたが、でも”社会に溶け込む’’という事はある程度大切だと私は思うのです。

ここに越して来て、ホイリゲをやっているし夫の知り合いが沢山いる、という事でドイツに居る時とは比べ物にならない位早いスピードでこの地に「慣れた」感じはします。通りを歩いてて(まあ田舎なので)知り合いに何人にも会うという事も良くあります。

でも肝心な私が最近悩んでいるのは「私個人としてこの地でどうやって生きて行こう」という事です。ホイリゲを開けていない時は、ほぼ社会との繋がりが無くなってしまうのです。ホイリゲとワイン畑以外では専業主婦的に生きて行くのか、それ以外の時間で他の何かをするのかというのが最大の悩みです。この地で長く生きている義母や親戚の女性達を見ていると、例え専業主婦でも地元の人であれば、この地のしきたりなども分かっているし知り合いも多いので、あまり生活に問題が無さそうです。が、私はここではまだ”よそ者’’というか、それだとちょっと意地悪しい響きなので ”新参者’’とでも言いましょうか..なのでもっと自分から外に出て行くべきだというか、何かしなきゃと少々焦ってもあります。

ああ、どうやって生きて行こう!ここでずっとか、長く住むんだろうから、どうせなら楽しく生きたい..。また一からだ。また一から考えなくちゃいけない。いや〜体力使うな..。海外に住んで4年目にしてちょっとネガティブ気味のブログになってしまいました。

 - オーストリア, 人生, 人生観

Comment

  1. 稲本とも子 より:

    外国に暮らす大変さが、ひしひしと伝わって来ますね。
    私は、正直その孤独に打ち勝つ勇気がないので日本に留まってしまうのです。

    だけど、私から言わせてもらえば、まなちゃんはまだまだ若い!
    しかも、まだ身軽(笑)

    日本でも、ワーキングママは増えているけれど、日本において子どもを育てながらの仕事は、かなり大変です。

    オーストリアの女性の地位については知らないですが、恐らく日本よりは子育てママには働きやすい環境にあるのではないでしょうか。

    身軽なうちに自分のやりたいことを、思い切ってやってみたらいいのではないかしら?

    もしくは、ママになる選択肢があるなら、ママになればまた子どもを軸に、またたくさんの新しい世界が広がりますよ。

    子どもたちにピアノを教えるとか、料理好きを活かして日本語と日本の文化を紹介する教室を開くとか、まなちゃんには才能があふれてる!

    まなちゃんのこれからを楽しみにしていますね^_^

  2. manatakata より:

    ともちゃん、
    コメントありがとう!私は別に勇気がある訳ではないのだけれど、何か行動をする前に取りあえず飛び込んでしまうのです。その後に色々と悩む、と言うのが私の性質なのです(笑)
    確かにまだ色々出来るよね。結婚してから身軽さは少々減った気がするけど、せっかくだからもっと色んな体験をして行きたいと思ってます。
    こっちでも頑張ります!

  3. ココ より:

    知り合いでもないのにいきなりコメントごめんなさい。
    まなさんは本当にすごいです!
    今は不安なこともあるかと思いますが、外国で1人奮闘してきた経験があるのだからきっとまた、まなさんなりの生き方を確立していけると思います。
    ブログをたまに拝見させていただいていましたが、私もドイツに住んで今月で一年になります。
    私の主人はドイツ人で、ドイツにきて大変なこともたくさんありましたが、主人が手伝ってくれるのでまなさんの大変さには及びません。
    加えて私よりもお若いので、本当にすごいなあ〜と感心しています。
    と同時に、私も知り合いは主人を通して知り合う機会もあるんですが、やっぱりどこか蚊帳の外の人という感じで、相手にそんな気はなくてもこちらがそんな気になってしまう…
    ここで、新しい人生をスタートさせて、周りに日本人なんて1人もいないのに生きていけるのだろうか?と不安でたまらなくなります。
    主人が頼りないとかそういうことは一切ないけれど、自分の問題なんですよね。
    私は今は翻訳家になりたくてコツコツ勉強していて、専業主婦で居させてもらっていますが、生き抜く力がないと、主人が側にいないと何もできないようでは不安だなって、勉強しつつもいつも不安です。
    憧れを持ってきたドイツ、憧れだけでは一生住むには足りなさすぎだろうと思ってはいたけど実感が乏しかった。
    私も不安な毎日ですが一歩一歩進んでいきたいです…。
    私よりもずっと素敵なまなさん、今年も残り少しになってしまいましたが
    まなさんの幸せを祈りつつ(^^)
    これからもブログ、楽しみにしています。

  4. manatakata より:

    ココさん
    ブログを読んで頂いて、そして暖かいコメントをありがとうございます!
    そうですか、現在ドイツにお住まいなのですね。私はブログに書いた通り、3年以上ドイツに住んでいました。その時は独り身だったので、全て自分でビザやら住居の事を処理しなければならなかったので確かに大変でした。現在オーストリアではオーストリア人の夫や夫の家族に支えられて生活していて本当に有り難いと思っています。でも家族がいるから、夫が助けてくれるのは確かに有り難いし、一人の時より断然心強いのですが、又違った大変さがあったりするのですよね。夫の友人や夫の家族との付き合いなど。私の周りは良い人ばかりですが、私が勝手に気を使ったりして最初は随分疲れました。大分慣れましたが…。
    時間がかかっても、自分が納得出来る生き方を模索して行きたいと思っています。
    またブログ見に来て下さいね。お互い異国の地で頑張りましょう(^^)/

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