Manablick

オーストリアのビオワイン農家に嫁いだ元ピアノ講師、高田マナのブログ

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ドイツで学んだ植物を増やすメソッド〜該当する日本名がない..? !

   

植物の増やし方についてドイツの職業訓練学校で学んだ。幾つかのメソッドに日本名が無くてビックリした!!の巻

Berufsshule(職業訓練学校)で先日”Vermehrung”(増殖)について学びました。植物の増殖する方法にはVegetative Vermehrung(無性生殖増殖方法)と、Generative Vermehrung(有性生殖増殖方法)があります。有性増殖方法は種まきによって行われ、種まきは方法や使用する容器などは様々な種類があるのですが、増殖方法が数多くあるのは何と言っても無生殖の方です。挿木や接ぎ木がその代表的な例。さて、職業訓練学校で教科書を使い様々なメソッドについて学びました。そして驚いたのが、幾つかのメソッドは該当する日本語がなかったのです。下の図にある ”Absenker”や”Abmoosen” それから”Ableger”.明らかに違う方法なのに、辞書やネットでは全て「取り木」となってるではないか!これにはビックリした。

という訳で、全て「取り木」となってしまっていて辞書には(そしてネットにも)該当する言葉が無かったメソッドについて紹介したいと思います。まずは”Absenken”から。

Vermehrung1

 

① Absenken

absenkenというのドイツ語の動詞で「沈める」という意味です。沈める枝という意味ですね。勝手に「沈み枝」という名にします..。あんまりか格好よい名前じゃないけれど。

手順

この方法を行う際、親株の若枝の全ての長さを土に埋めるのではなく、アーチ形の様に枝を埋める。枝の先は土から突き出ている様にする。

根の発生を早めるには、根の発生が行われる場所に切り込みを入れるか、又は針金で根を止める事に寄って生じる、葉から出された同化成分の停滞に寄って起こりうる。篩部の遮断は傷口に接する細胞に同化成分を供給するのをより良くする、その結果傷口癒傷組織の発生を良くし、その結果早く強い根の発生が起こるのである。十分な根が出て来たら、親株から切り離し植え替える。

対象となる植物の例
  • マンサク
  • セイヨウキヅタ
  • モクレン
  • スグリ

「沈み枝」方法はこんな感じです。挿木の様に親株から切り離す必要がないので、枯れる心配が少ないですね。そして何よりも親株の枝を土に埋めておけば、そこから根が出てくるなんて面白い。上記に書いたセイヨウキヅタは非常に強い植物で、ドイツではあちこちに雑草として生えてます。わざわざこのちょっと面倒な方法で増やさなくても、一枝切って、水に差しておけば根がどんどん出てくるので、その方法の方が簡単に増やせると思います。ただモクレンやマンサクは水差しでは上手く増えないでしょうから、この方法は良いと思います。

↓より詳しいAblegerとAbsenkerの図

Ableger&Absenker

② Ableger

次はAblegerについて。上にある写真の上部の方ですね。aglegenというのもドイツ語の動詞なのですが、legenは横たえる、という意味です。横たえる枝という感じですかね。良い日本名を思いつかないのでカタカナで「アップレーガー」と呼びます。

手順

アップレーガーを行う場合は、対象の植物の芽吹きの前の春に行う。やりかたとしては、前年の若枝(出たばっかりの若い枝じゃなくて、前の年に出た枝)の全ての長さを浅い土の溝に埋め、しっかりと針金などで枝を留める。芽が出た後、根の発育を促す為に何度も土寄せを行う。その際、3つ目の芽には土が被らない様に注意する。秋に葉が落ちたら親株から切り離し、植え替える。

対象となる植物の例
  • セイヨウミザクラ
  • クランベリー

など。ちなみに藤はドイツでもあります。私の働いている園芸センターでも、先月から売り出していました。それからセイヨウミザクラは日本の桜の代表的なソメイヨシノではありませんが、同じく桜の種類です。なのでソメイヨシノもこの方法で増やす事が出来るのではないのかと思います。ソメイヨシノの寿命は50とか60年だという説もあります。いわゆる一般的な接ぎ木だけじゃなくて、この方法も使って増やせないものかな…と、話がそれてしまいましたが、ふと思いました。

他にも色々なメソッドがある

Vermehrung2

さて、この今回のブログでは上記の二つのメソッドを紹介しましたが、他にもいろんな増やし方があります。上の写真がその例です。また改めて他のメソッドも紹介したいと思います。

 

 - Ausbildung, Berufsschule, 園芸, 植物学, 自然

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